改正派遣法について              2015年10月1日

2015年の改正派遣法のポイント 自由化業務で長期派遣が解禁になる。

派遣業の事業区分の廃止や派遣期間規制の見直しなどを盛り込んだ改正派遣法が、過去2回の廃案を経て、2015911日に国会で可決され930日に施行されました。今回の派遣法改正は、2012年の改正派遣法の付帯決議に基づき、登録型派遣や派遣期間を含む派遣制度のあり方を検討してきた結果、改正に至ったものです。もともと派遣法の仕組みは複雑で、今回の改正派遣法の内容もすんなり理解できるほどシンプルではありませんが、改正派遣法案のなかで特に重要と思われる点にポイントを絞り、改正の狙いとその内容をを簡単に整理すると次のようになります。

1 特定労働者派遣と一般労働者派遣の区分を撤廃した狙いはどこにあるのか?

人材派遣の仕組みは、労働者と人材派遣会社(以下「派遣元」)の関係などによって、「特定労働者派遣事業」(以下「特定派遣」)と「一般労働者派遣事業」(以下「一般派遣」)に分かれます。現行法における特定派遣と一般派遣の特徴は次のとおりです。

●特定派遣:派遣元が「常用雇用」(雇用期間に定めのない労働者など)している労働者だけを派遣の対象にする事業で、厚生労働大臣への届出制。常用雇用している労働者が派遣の対象なので、雇用が安定しやすい反面、届出制であるため要件は緩い。

●一般派遣:派遣元が常用雇用している労働者に加え、派遣元に登録する労働者を派遣の対象にする事業で、厚生労働大臣の許可制。登録する労働者が派遣の中心になるので、雇用が不安定になる半面、許可制であるため要件は厳しい。

特定派遣と一般派遣には良しあしがありますが、今回の改正派遣法によって特定派遣と一般派遣の区分が撤廃され、派遣事業を営む際は厚生労働省の許可を受ける体制に統一されます(届出制はなくなります)。また、雇用が不安定な登録型派遣の禁止も検討されましたが、経済活動などに与える悪影響を考慮した結果、こちらは見送られました。これまで、常用雇用している労働者だけを派遣の対象にする特定派遣は、一般派遣よりも派遣労働者の保護の面で優れていると考えられてきました。実際にそうした面はあります。しかし一方では、一般派遣と同じように派遣契約終了と同時に解雇される例があります。また、届出制ゆえに要件が緩く、一般派遣の要件をクリアできない小規模な派遣元が特定派遣として経営することが少なくないなど、派遣労働者の保護の面で十分とはいえないところがあります。今回の改正派遣法ではこの点にメスを入れ、派遣事業の透明化・健全化の確保のために許可制への一本化が図られたのです。なお、現時点で特定派遣を行っている派遣元が新たに許可を受けるまでの経過措置(3年)や、改正後に新たに許可を受ける場合に小規模な派遣元に関する資産要件の軽減※などの配慮措置が設けられました。

  • 一般派遣免許の資産要件→1拠点につき純資産2000万円 現預金1500万円
  • ※軽減措置 ・派遣数10名以下の小規模業者 純資産1000万円 現預金 800万円
          ・派遣数 5名以下の小規模業者  純資産 500万円  現預金 400万円

2 派遣期間が改正され、恒常的な派遣の活用が可能になる

1)専門業務と自由化業務

今回の改正派遣法案の最大の目玉は、派遣期間規制の見直しです。これを理解するために、まずは「派遣が可能な業務」(以下「派遣対象業務」)を整理しましょう。派遣法が成立したころ、派遣対象業務は、政令で定められた業務に限定されていました。これを「専門業務」や「政令業務」などと呼びます。その後、規制緩和によって専門業務以外でも派遣が可能となりました。これを「自由化業務」と呼びます。現行法における専門業務と自由化業務の特徴は次のとおりです。

●専門28業務:ソフトウェア開発など政令で定められている28業務。専門性があり、労働市場での競争力も高いということで、派遣期間に制限はない。なお、厚生労働省などの資料には「専門26業務」と記載されることがあるが、26業務は2012年改正前の呼び名を踏襲しているだけのもので、正確には28業務である。

●自由化業務:上記以外の業務で、いわゆる営業・販売・サーボス・製造職などが該当する。恒常的な派遣就業を防止するため、派遣期間は原則1年間、過半数労働組合の意見を聴くことにより最長3年間まで認められている。ただし、派遣労働者を受け入れる会社(以下「派遣先」)の労働者で、産前産後休業や育児休業などを取得している者の業務を担当する場合、派遣期間の制限はなくなる。

このように、派遣期間は専門業務では制限なし、自由化業務では最長3年といったように異なるため、わかりにくい面があります。また30年も以前に制定された業務分類であって

現在では28業務とその他業務との違い、つまり専門性を有するかどうか判別しにくくなっていました。そこで、今回の改正派遣法では、専門業務と自由化業務による派遣期間の違いを撤廃し、共通ルールとして「個人(派遣労働者)単位の期間制限」と「派遣先単位の期間制限」が設けられることになりました。それぞれの概要を見てみましょう。

2)個人(派遣労働者)単位の期間制限

派遣先における同一の組織単位に、同じ派遣労働者が働ける期間の上限は3年間となります。これに違反した場合、「労働契約申込みみなし制度」(後述)の対象になります。同一の組織単位というのは、部とか課を通常イメージしますが、業務の内容について指示を行う権限を有する者とその者の指揮を受けて業務を遂行する者とのまとまりのうち最小単位のものです。たとえば、派遣先にある「××業務を行う○○リーダーが率いる△△チームの一員」が該当します。

3)派遣先単位の期間制限

派遣先が、同一事業所において派遣労働者を受け入れることができるのは3年間までとなります。ただし、当該事業所に過半数労働組合(当該事業所で働く労働者の過半数で組織する労働組合)がある場合は当該組合、そうした組合がない場合は過半数代表者(当該事業所で働く労働者の過半数を代表する労働者)の意見を聴くことによって、さらに3年間、派遣労働者を受け入れることができ、その後も同様の運用になります。つまり、派遣先は過半数労働組合(これがない場合は過半数代表者)の意見を聴くことによって、いつまでも派遣労働者を受け入れることができるということになります(ただし、意見に対して対応方針などの説明義務があります)。なお、派遣先がこのような手続きをせずに、3年を超えて派遣労働者を受け入れた場合、「労働契約申込みみなし制度」の対象になります。

4)派遣先がその気になれば、いつまでも派遣労働者を活用できる

以上から、専門性の低い業務についても、派遣労働者の入れ替えと所定の手続きにより、恒常的に派遣労働者を活用することが可能になることがわかります。つまり、同一の組織単位で勤務する派遣労働者を3年単位で入れ替え、そのタイミングで過半数労働組合などの意見を聞けば、いつまでも派遣労働者を活用できるということです。つまり派遣社員のAさんからBさんに入れ替えればよいということです。一方、派遣社員のAさんを継続雇用するには、配属する組織を変更すれば可能となります。組織を変更せずに継続させるにはクーリング期間3か月を設けるという方法もありますが、キャリアアップという観点からAさんが希望している場合に可能となります。希望していないときやあるいは意見聴取を避ける目的でクーリング期間を設けると違反となります。

  

3 2015年10月から始まる「労働契約申し込みみなし制度」とは何か?

派遣期間の説明のなかで紹介した「労働契約申込みみなし制度」(以下「みなし制度」)について説明します。みなし制度は2012年の改正派遣法で新設された項目で、2015101日から始まります。その内容は、「派遣先が一定の違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れた場合、その時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込みをしたとみなす」というものです。ただし、派遣先がその行為が違法であることを知らず、または知らなかったことについて過失がなかった場合はこの限りではありません。とはいっても法律を知らなかったという抗弁はできません。このみなし制度とは、民法に依拠した制裁措置でペナルテイですから派遣先に選択余地はありません。契約自由の原則から逸脱するもので強権発動といった怖いものです。違法派遣であることを認識していて派遣を受け入れた場合、その時点でその労働者を元の労働条件と同一条件で直接雇用しなければなりません。違法派遣とは期間制限違反、禁止業務への派遣、無免許派遣など。例えば派遣業者が特定派遣の免許しか保有していないに係わらず、一般派遣(一時的・臨時的な派遣)を受け入れるなど。期間制限違反には個人(派遣労働者)単位の期間制限と派遣先単位の期間制限に違反した場合も含まれます。

4 そのほか、派遣労働者の保護に関するポイント 

以上で紹介したほかにも、今回の改正派遣法では重要なポイントがあります。派遣労働者の雇用安定と保護に関する措置が強化され一部義務化されました。派遣労働者の保護に関する事項には、派遣労働者の雇用安定措置があります。前述しましたが、個人(派遣労働者)単位の期間制限によって就業の継続ができなくなった派遣労働者について、①派遣元が派遣先に対して直接雇用を依頼する、②派遣元において無期雇用などの措置を講じる ③派遣元は新たな派遣先の提供 などの点が設けられています。(図参照)また、派遣労働者の処遇改善として、派遣元が派遣労働者のキャリアアップに関する措置を講じる、派遣先は派遣先に勤める別の労働者と派遣労働者の均衡待遇を講じる、正社員募集情報などを派遣社員及び派遣元に周知を行うなどの点が盛り込まれています。1年以上雇用見込のある派遣労働者に対して、毎年8時間以上の有給かつ無償の教育訓練が派遣元に義務化されました。(注意:これらの措置は派遣労働者が継続雇用を望んだ場合に適用されます) 

 


「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。                      2015年 9月11日

 大阪労働局より改正派遣法についての説明会の案内と下記まとめ資料が届きました。施行日は9月30日です。

 (厚労省HPより) 

改正労働者派遣法は、一部の業務を除き企業が派遣労働者を受け入れられるのは最長でも3年となっている制限を撤廃する一方、1人の派遣労働者が同じ部署で働ける期間を原則3年までなどとするもので、今月30日に施行されます。厚生労働省は法律の施行に向けて必要な政省令を取りまとめるために、9月11日に法律が成立してから わずか1週間の9月18日に開かれた厚生労働省の審議会で具体的な運用方針を盛り込んだ答申がまとめられました。厚生労働省は、今後、派遣会社への説明会を開くなどして周知を図ることにしています。 

 

 


派遣法改正案衆院で可決             2015年6月19日

2013年8月からおよそ2年がかかりました。国会審議も3度目。ようやく可決され本年9月に施行されます。約30年前に制定された派遣期間に制限のない26業種が撤廃され、一般職種と同様、受け入れ期間が3年となり、人を変えれば企業は派遣を継続できます。あるいは受け入れ部署を変更すれば同じ人を継続して受け入れできます。これに伴い従来から問題の多かった特定派遣は廃止され、一般派遣に統合されます。大きな影響を受けるのは現在26業種で働く人約40万人の雇用と特定派遣IT系の数万人の雇用に不安定な要素が多いことです。しかし派遣先や派遣元に雇用を安定させる努力を課しております。企業の派遣利用は従来に比べ格段に利便性が高まり、企業の国際競争力を維持発展させる上で大きな成果です。


労働者派遣法改正案の審議先送り        2014年12月1日

臨時国会は9月29日から始まりましたが、改正法案は通常国会提出時に法案の一部にミスがあり、廃案を余儀なくされたのですが、そのミスを修正して臨時国会に再度提出されました。しかるにその後、衆院厚生労働委員会の理事会が11月12日開かれ、各党は他の法案の審議を優先して労働者派遣法改正案の審議を後回しにすることで合意。 安倍首相が来週の衆議院解散に向けて調整に入ったことを受けてのものとみられ、事実上今国会での成立を断念したことになります


特定派遣事業を廃止し一般派遣に移行      2014年11月6日

SankeiBiz 11月6日(水)8時15分配信

 厚生労働省は5日、届け出制で開業できる「特定派遣事業」を廃止し、すべての派遣会社を許可制の「一般派遣事業」に移行させる方針を固めた。特定派遣事業の条件はIT(情報技術)企業や製造業などでの「常時雇用」が前提だったが、2008年のリーマン・ショック以降、1年ごとの雇用契約を結ぶなど、有名無実化していた。厚労省は、許可制にすることで派遣労働者の待遇改善に結び付けたい考えだ。

 特定派遣事業は、臨時や日雇いなど短期の一般派遣と異なり、1年以上の雇用実績や雇用契約を結んだ労働者を派遣する。技術者の派遣を主とする派遣会社が半数近くを占める。厚労省は「雇用形態が比較的安定している」として、業者から申請があれば即日受理する届け出制としてきた。

 しかし、常時雇用に法律の定義はない。このため、特定派遣事業者の中には「不況で技術者の需要が減った」などとして1年ごとの有期雇用を繰り返したり、派遣先の仕事が終了した後に労働基準法で定める休業補償をしなかったりするなど、労働者への待遇面で不利益が生じていた。

 個人でも届け出だけで開業できる特定派遣は、事業者が乱立している。特定派遣事業所数は約5万3000件(11年時点)で、一般派遣事業所数の約2.7倍もある。リーマン・ショック後の不況で「派遣切り」が問題視された際、一般派遣事業者への規制が強化されたこともあって、「一般」から「特定」への安易な流出が起きたとの指摘もある。

 また、労働者派遣法で選任が義務付けられている派遣元責任者について、「一般」では受講する必要がある講習も、「特定」は受講が義務付けられていない。関係者は「特定派遣事業は資産・現預金や事務所の広さの要件がなく、参入しやすかった」と指摘しており、法律順守に関心の薄い業者を生む温床となっていた可能性もある。

 特定派遣事業が廃止されれば、すべての派遣業者は一般派遣事業の許可を取る必要がある。2000万円以上の資産規模が求められるほか、5年ごとの更新となる。行政の指導が入ることで、業界全体の信用向上につながることが期待されている。特定派遣事業の廃止は、厚労省の労働政策審議会の派遣制度見直しの中で議論されている。厚労省は、労働者派遣法の条文を一部削除する方向で15年春の法改正を目指している。


日雇い派遣見直しで意見書案(政府の規制改革会議)2014年10月 4日

政府の規制改革会議は、働き方の選択肢を増やしたいとして、改正労働者派遣法で原則禁止された、30日以内の日雇い派遣の抜本的な見直しを求める意見書の案をまとめました。政府の規制改革会議は、働き方の選択肢や働く機会を増やしたいとして、雇用分野の規制緩和の議論を行っており、このうち労働者派遣制度に関する意見書の案をとりまとめました。それによりますと、民主党政権時代の去年10月に施行された改正労働者派遣法によって原則禁止された、30日以内の日雇い派遣について、限られた期間だけ働きたいという労働者もいるなかで選択肢を狭めているとして、抜本的な見直しを求めています。また、職場を離れて1年以内の労働者を、派遣労働者として再び同じ職場で受け入れることを禁止している規制についても、例外を認めることなどを求めています。規制改革会議は、4日の会合で意見書の案を了承し、労働者派遣制度の見直しに反映させたいとしています。(104日 毎日新聞)



労働者派遣法改正案を閣議決定            2014年 3月11日

 2014年3月11日  [朝日新聞]
  政府は11日、企業が自由に派遣労働者を活用できる「期間」や「職種」を広げる労働者派遣法の改正案を閣議決定した。今国会で成立させ、2015年4月からの施行を目指す。 改正案では、企業が3年ごとに働き手を交代させれば、どんな仕事も、ずっと派遣に任せられるようにする。いまは秘書や通訳など「専門26業務」以外は3年までしか任せられなかった規制を緩める。一方、人材派遣会社はすべて国の許可制にする。派遣労働者への教育訓練を義務づけ、待遇改善に向けた国の指導も強める。改正案をめぐっては、「派遣の固定化につながる」「正社員雇用の枠が狭まる」といった懸念が、労働組合や野党から出ている。田村憲久・厚生労働相は閣議後の会見で「人材派遣会社にも責任を持ってもらい、労働者のキャリアアップをはかってもらう」と改正の意義を強調した。


政府、紹介予定派遣に助成金を導入       2014年2月3日

「正社員前提」の派遣に助成金…若者の雇用改善 (読売新聞 2月3日(月)14時50分配信)

政府は、派遣社員として一定期間働いた後、正社員になれる「紹介予定派遣」に、2014年度から助成金を出す方針を決めた。  学校卒業後も就職できない若者などを支援することが狙いで、紹介予定派遣を通じて正社員に登用された場合、派遣企業に成功報酬などを支払う新制度を導入する。  新制度は、大学卒業からおよそ1年後でも、就職先が見つからなかったり、非正規雇用だったりというような若年者の利用を想定し、無料でサービスを利用できるようにする。  政府は全国を5ブロックに分け、各ブロックで紹介予定派遣企業と委託契約を交わす。紹介予定派遣企業は、対象者に社会人マナーやパソコンの使い方などの基礎研修を行い、派遣先を紹介。最長6か月の派遣期間の間も個別相談などにより、正社員になれるように支援する。  政府は、基礎研修にかかる経費を一部負担するほか、正社員に登用された場合には派遣企業に1人あたり10万円程度を成功報酬として支払う方向だ。13年度補正予算案で、こうした事業に43億円を計上し、補正予算成立後、14年夏前からの開始を想定している


派遣法改正「派遣制度見直し決定=期間上限を撤廃 」 2014年1月

時事通信 1月29日(水)11時34分配信

厚生労働省は29日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の専門部会を開き、労働者派遣制度を見直し、現行最長3年としている企業の派遣受け入れ期間の上限を撤廃することを決めた。これまで労使の意見が折り合わず、調整が難航していたが、労働者側が折れる形で合意した。通常国会に労働者派遣法改正案を提出し、2015年4月施行を目指す。  改正案では、企業が派遣労働者を受け入れる際に、一つの業務で最長3年としている上限を労働組合の意見聴取などを条件に撤廃する。これにより、企業は労働者を入れ替えれば、事実上何年でも派遣を使用できるようになる。  労働者の派遣期間については、通訳など専門的な26業務を除いて最長3年と規定している仕組みを廃止。労働者が派遣元と無期雇用契約を結んでいる場合はその制限をなくす。有期契約の場合は最長3年とする。一方、派遣元には労働者のキャリアアップを支援する措置を義務付ける。 


日雇い派遣解禁を=規制改革会議が意見書     2013年10月

政府の規制改革会議は労働者派遣制度で、派遣会社がマージンを開示する義務をなくすよう厚生労働省に提案する。当時の民主党政権が昨年10月に労働者の待遇改善のため導入したが、派遣会社にとって重要な経営情報を公開するのは好ましくないと判断した、厚労省が2014年の通常国会に提出する労働者派遣法改正案に盛り込むよう求める。現行法は派遣先が派遣会社に支払う料金のうち、派遣労働者の賃金との差額が占める割合を示す「マージン率」の開示を派遣会社に求めている。派遣会社がどれだけ「利ざや」を稼いでいるかを公にし、過度な利益の追求を防ぐ狙いがあった。提言では、廃止を求める理由を(1)日本の他の産業で同様の指標を公開している例はない(2)マージンには社会保険料や教育研修費も含まれるため、比率の高さが派遣労働者の低待遇を示すとは言えない―としている。

 

このほか、原則禁止となっている日雇い派遣(契約期間30日以内)の解禁も要請。グループ内の派遣会社から系列企業への派遣を8割以下に抑える規制の抜本的な見直しを要請するほか、一度職を離れた直接雇用者を1年以内に派遣社員として受け入れることを禁止する規定も例外を作って部分的に認めるべきだとの見解を示す。要するに昨年10月の法改正のすべての項目を否定、撤回させようというものです。裁判では控訴審で逆転勝訴などありますが、もし法律が白紙撤回となれば、その悪法によって撤退や縮小させられた派遣会社が受けた実害や社会的な損失は誰が償うのでしょうか。国は責任をもって復元し、政治責任も追及されないといけません。

 

昨年労働局が主催した改正の説明会に行ったとき、マージンを開示する義務について知らされ、びっくり仰天たいへん不快な思いをしたことを思い出しました。派遣業界に対する疑いや不信感を与えるし実際の利益率など数%だというのに、しかも他の業界でまったく例のないことです。マクドのメニューに利益率を開示しますか?ビッグマック単品350円(利益250円) 前代未聞の悪法です。ものやサービスを販売するときに仕入値をお客に教えるそんな商売は古今東西どこにもありません。商いが成立しません。歴史に残る悪法です。その他の改正点もすべて就労の機会を縮小させるもので、しかも企業の雇用調整や再雇用の機会を奪うものであります。厚労省は、一時的に目的があって日雇いをしている人、行き場を失って食いつないでいる人、再雇用で救われる人がたくさんいるという現実もわかっていない。


厚労省の研究会が派遣法の改正案         2013年8月

日経新聞 2013/8/6 朝刊

無期雇用、派遣期間の制限なし 厚労省研究会 

 

労働者派遣制度の見直しの方向性を議論していた厚生労働省の研究会は6日、派遣元と無期の雇用契約を結んだ労働者は期間の制限を受けずに働き続けられる案などを盛り込んだ報告書を公表した。企業が同じ業務に派遣社員を受け入れられる上限を3年と定めた規制も撤廃する。労働者の雇用安定を図りながら、企業が幅広い業務で派遣社員を活用しやすくする。現行の制度では、通訳やアナウンサーなど「専門26業務」は派遣期間に上限がない。それ以外の業務では上限は最長3年に決まっている。今回の見直し案ではこの規制をなくし、3年ごとに働く人を変えれば、同じ職場で継続的に派遣を受け入れられるようにする。 派遣期間に上限がなかった「専門26業務」は業務範囲がわかりづらいため原則廃止し、期間の上限の有無は派遣元との雇用契約によって変えるようにする。派遣元に有期で雇用されている人は3年ごとに職場を変えるようにする。この際、雇用安定のため派遣元に対し(1)派遣先に直接雇用の申し入れをする(2)新たな派遣就業先を提供する(3)派遣元での無期雇用に転換する―のいずれかの措置を講じることを義務付ける。研究会の報告を受け、労使による労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で8月末から詳細な議論を始める。来年の通常国会への労働者派遣法改正案の提出を目指し、年内に骨格を固める。


不可解な専門26業種

専門26業務

1)ソフトウェア開発 2)機械設計 3)放送機器等操作 4)放送番組等演出 5)事務用機器操作 6)通訳・翻訳・速記 7)秘書 8)ファイリング 9)調査 10)財務処理 11)取引文書作成 12)デモンストレーション 13)添乗 14)建築物清掃 15)建築設備運転・点検・整備 16)案内・受付・駐車場管理等 17)研究開発 18)事業の実施体制等の企画・立案 19)書籍等の制作・編集 20)広告デザイン 21)インテリアコーディネーター 22)アナウンサー 23)OAインストラクション 24)テレマーケティングの営業 25)セールスエンジニアリングの営業 26)放送番組等における大道具・小道具

 

これは1986年に制定されたもので5)事務用機器操作とは電子計算機、タイプライター、テレックス又はこれらに準ずる事務用 機器。当時パソコンもなかったので電子計算機、タイプライター。今ではほとんどみかけません。パソコンの操作(派遣期間制限なし)なんか今では事務系の人ならだれでもでき、一般事務(派遣期間3年)との区別ができません。何より多数の職種の中でこの26職種だけがどうして専門的な業務なんかさっぱりわかりません。テレマの営業が専門って信じられません。ワンパターンのトークマニュアルで無差別に電話かけまくる仕事です。オレオレ詐欺の方がよほど専門性が高い(冗談) これ言い出したらキリがないからやめますが、この26業務じーっと眺めてください。厚労省って今も石器時代を生きているとわかります。


「8割規制」抵触。大手2行グループ派遣事業撤退へ          2012年12月

 都銀大手の三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループが、今年度末までに、系列企業が行う派遣事業から撤退する方針を固めたことが23日、分かった。労働者派遣法の改正で、企業グループ内の派遣会社から系列各企業への派遣割合が8割以下に規制されたためで、両グループは同法に抵触する恐れがあると判断。在籍する派遣社員計約1万8千人について、順次直接雇用に切り替える見通しだ。グループ内派遣の規制を強化した改正法施行後、大手企業グループの派遣事業撤退が明らかになるのは初めて。今後、他の企業グループでも同様の動きや事業見直しなどの再編が進むとみられ、厚生労働省は労働市場や雇用環境などへの影響について注視するとしている。

 

三井住友は、グループ傘下のSMBCスタッフサービスが銀行本体に約7300人、グループ全体で約1万人の社員を派遣。グループ外への派遣実績はほとんどなく、ほぼ100%がグループ内派遣だったが、8割規制への対応策として、来年1月までに全員を派遣先での直接雇用に切り替える方針を決めた。 三菱UFJでは、傘下の三菱UFJスタッフサービスが抱える派遣社員約7900人のほぼ100%を、窓口業務や受付などの事務系要員などとして銀行本体に派遣していたが、大半を今年10月までに直接雇用に切り替えた。関係者によると、今年度末までに派遣事業から撤退する方向で検討を進めているが、三菱UFJ広報は「撤退するかどうかは、現時点では回答を差し控えたい」としている。

 

三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループの派遣事業撤退方針は、規制強化の流れに配慮した形で、正社員の仕事を派遣で代替する動きに歯止めがかかり、派遣労働者の待遇改善につながるとの見方がある。一方、雇用の縮小を懸念する経済界は規制強化に強く反発。派遣業界全体の再編も今後進むとみられ、労働市場への影響は必至だ。 「銀行の場合、派遣労働が雇用の調整弁として効率的な人材配置に役立っている」。子会社の派遣事業の撤退を決めた三井住友フィナンシャルグループの担当者が現状を説明する。金融業界は、バブル崩壊後の不良債権問題で巨額の公的資金が注入され、人員計画に国が関与した。その結果、大幅な人員削減が行われ、労働力を確保のため、大手銀行は積極的にグループ内派遣を推進した。

 

 厚生労働省が平成20年3月に全国の大企業グループ傘下の259の派遣事業所を対象に実施した調査で、グループ内への派遣割合が8割を超えた事業所は68%。金融や情報通信業界で比率が高かった。 企業にとって、グループ内派遣は人件費の削減につながるだけでなく、業務量に合わせて雇用数を調整できるメリットがある。しかし、一部の企業では、本来正社員として雇うべき人材を低賃金で不安定な派遣社員として働かせるなど、労働条件切り下げの手段として使われる実態もあった。  

 

法改正のきっかけには、2008年9月のリーマン・ショック後の世界的不況で「派遣切り」が相次ぎ、社会問題化したことがある。派遣法はこれまで労働市場を規制緩和する流れに沿って改正が繰り返されたが、規制強化への方針転換は「雇用の縮小を招く」と経済界の反発が根強い。 厚労省需給調整事業課は「本来、派遣労働は臨時的、一時的な労働力を活用する手段であり、特定の企業の働き手を補うものではない」とし、規制強化の必要性を強調する。しかし一方で臨時的、一時的な労働力である日雇い派遣を禁止、自己矛盾といわざるを得ない。8割規制も日雇い派遣禁止のいずれも雇用の縮小は必至で雇用の安定が重要な任務である厚労省は何をやっているんだろう 。労働者を守るための法改正が労働者から就業の機会を奪っている。


派遣法改正                  2012年10月


派遣社員は電話に出てはいけない。お茶を出すな。    2010年2月

2010年2月、厚生労働省から出された文書が全国のオフィスに大騒動を引き起こした。 会社側が特定の派遣社員たちに、「どんなに電話が鳴っていても、出てはいけない」「人が出払っている時にお客様がいらしても、絶対にお茶を出すな」などと、不思議な指示を出したのである。原因となった文書は、「専門26業務派遣適正化プラン」という職業安定局長通達だった。

 

オフィスで事務をこなす派遣社員には、法令上、2種類ある。1つは、労働者派遣法施行令で定められた26業務のうち「5号業務」と言われるもので、〈電子計算機、タイプライター、テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作の業務〉の専門業務。もう一つは、「一般事務」だ。この2つは契約期間などで法令上の厳然たる区別がある。「5号業務」は派遣期間の制限なしだが、「一般事務」は原則1年まで(手続きを踏めば最長3年)、となっている。とはいえ、仕事の現場はそう単純に切り分けられない。契約上は「パソコン操作」などに限定されている「5号業務」の派遣社員も、鳴り続けている電話くらい取る。従来は、そういう「付随的な業務」も常識の範囲内で認める趣旨の通達が出されていた。

 

ところが、厚労省は局長通達(適正化プラン)で規制を強化し、さらに細則を定めた「疑義応答集」で、〈5号業務の実施に伴い、お茶くみが必要になるとは考えられない〉、〈業務の実施に電話応対を要しないときの電話の応対〉を少しでも行なっている場合は、5号業務を含む専門26業務とは認められないなどとした。違反すれば、たちまち「違法な派遣契約」として取り締まり対象になる事態に。規制強化の目的は恐らく、「企業がお茶汲みなどの『一般事務』のために長期で人員確保したいなら、本来『正社員』として雇うべき。でも、そこで専門職種(5号業務)として期限なしの派遣契約を結び、正社員になれない『かわいそうな派遣社員』が生まれている。彼らに安定した雇用機会を提供しなければ!」ということだったのだろう